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June 02, 2005

ライツプラン等は誰がモニターし、合法性・妥当性はどう判断されるべきか

 47thさんが「ニレコ新株予約権差止め地裁決定」でろじゃあのエントリーまで引用してくださったせいか、今日の朝方の一時間あたりのアクセスが桁がひとつ違うという・・・(^^;)。うわ~HardWaveさんところにも貼られてるじゃん(@@)。こりゃ真面目に書かないわけにはいきませんねえ。
 既にブログではたくさんの記事が出始めてまして、みなさんいろんな見方があるんだなあと。それにしても、今回の東京地裁決定、また鹿子木裁判官の決定ですけど、精力的ですよねえ(好き好んでやってんじゃないかもしれないですが)。そんでもって、商法の会社法の部分でこれほど裁判所が指導的役割を演ずるのはある意味すごいことであるなあと重ね重ね思います。
 ところで、これまでろじゃあはこのライツプラン等についてのコメントは意図的に避けてきたのですが、企業の担当者の人たちが総会に間に合わせなきゃとせっせと汗かいてるそばから、門外漢が無責任にしかも匿名ブログで書くのもどうかなあ・・・と思っていたところもあったのです。ただ、時間を置いてみてみるとどうも企業法務の方々からするといろいろ考えざるを得ない問題が結構漏れ出してきてるのではないかと。ですからちょっと現状で頭にあることを吐き出してみますね。
いま、ろじゃあの頭の中でぐるぐる回ってるのは、

(1)まず、今回の件であぶりだされたのは、法務省や裁判所サイドのわが国における「社外取締役」というか「社外取締役の役割」に対する総会の決議と比した場合のその信認の度合いの相対性評価であろうということ
(2)具体的なライツプラン等の評価と判断手続きは、自分としては「裁判でチェックする」手続きが確保されている法的枠組み「のみ」ではかえって企業も株主の方もやりにくかろうということ
の二つです。順番にいきましょう。

1.「社外取締役」という存在への評価
 まず(1)についてですが、社外取締役の役割については、磯崎さんがしきりに残念がってますね。これについてはいろいろ意見があると思うのですが、ろじゃあなんぞからすると、確かに彼が社外取締役として活躍しているカブドットコムのような形態の企業モデルを見れば、市場から株を購入した株主は安心できると思うのです(^^;)。
同社HPの5月23日付けニュースリリース「役員候補者の決定に関するお知らせ」を見るとほとんどの取締役が社外取締役になるようですし、敢えて以下のようなコメントもつけられています。特に最後の(3)はシビれますねえ(^^)。

今般の取締役候補者の選任に当たってはさらに以下の各点に留意して、独立性・専門性・実効性が高い、日本でもトップクラスの先進性を持つ取締役会の体制を目指すものであります。
[1] 商法上の社外取締役の要件だけでなく独立取締役の要件を満たす取締役を増員し、意思決定の独立性を高めることで、取締役会が より一般株主の利益に資する判断を行える体制を整える。
[2] 取締役会と執行部門とのより密接な連携を可能とするため、代表執行役を取締役兼任とする。ただし、代表執行役以外、会長を含めた全員を社外取締役とするとともに、従来と同様、経営監督の長である会長職と執行部門の長である代表執行役職を分離し、経営監督の高い独立性を保つ。
[3] コーポレート・ガバナンス及び企業買収防衛に関して専門性の高い取締役を配し、当社に対する敵対的企業買収等が発生した場合にも、真に企業価値の向上につながる選択ができる体制を整える。

 しかし、これと同じ対応は既存の伝統的企業ではどの程度対応できているのでしょうか。他の大多数の会社については残念ながらいまだ法務省の原則論のほうが分がありそうです。ろじゃあは、思うに、これはどちらかというと「社外取締役」という制度(?)の「信認」の問題なのではないのかと思うのです。  
 経済産業省は新しい枠組みでスタートさせるんだからと旗を振っているんだろうというのも痛いほど判るのですが(ろじゃあは経済産業省のこういういい意味でポジティブなマインド好きなんですけどねえ)、あるライツプラン等が法的に妥当かどうかの判断は、 「裸の株主総会」でもわが国の大多数の裸の「社外取締役」のいずれをしても、市場の既存の少数株主を含めた株主を説得させるような判断を十全に行ってくれたはずだという信認はなかなか得にくいのかもしれません。
 例えば、最低でも「社債にネガティブプレッジが何故必要?」という理屈を自分の頭で理解でき自分の言葉で説明し、そして意思決定できるような方(もちろんこれで十分なんてとてもじゃないけど言えません)が今回のライツプラン等の仕組みの評価には期待される訳ですよね?そういう方々が、どの程度「社外取締役」になっておられるのか。一定割合以上はおられるのかもしれませんが、一般の株主の方々はそれもわからないというのが実情なのではとろじゃあは懸念しております。
 第一、ライブドアの一件を受けてなだれをうってライツプラン等の導入を図ってるってこと自体が現行の役員達の保身では?ということを一部の方々は想起するような現状においては、「一般の取締役」と区別があいまいな「社外取締役」についての「偏見」を取り除くのは結構大変なんだということなんでしょうかねえ(^^;)。

2.具体的な仕組みの合法性・妥当性の判断はどの段階で誰が行うのか 
 この点については、現行法上は導入の段階では総会決議がなされる場面では総会決議無効の訴えとかの枠組みを利用し、いざ買収者現るの段階でプランが稼動するかどうかという時点では、その新株予約権の発行について差止めの仮処分の流れの中で裁判所に判断を委ねるという枠組みになってる訳ですよね。
 47thさんは信託型について「出口」と「入口」というたとえを使って次のように書かれています。

「出口」というのは、買収防衛策の導入を「入口」に譬えて、実際に買収がなされた段階でプランを消却するかしないかという判断をする場面のことを指します。
信託型の場合、「入口」(導入時)段階で新株予約権をSPCや信託に発行する段階では不公正発行差止めという形で裁判所の司法審査に訴える余地があるのですが、買収が具体化していない段階では「そもそも取締役が買収防衛をするのは何事か」とか「仕組みとしてできが悪い」といった争い方しかできないので、今ひとつ身のある議論になりにくいところがあります。
そこで、実際に買収者が現れた「出口」段階での司法審査というのが、本来は重要になってくるはずなのですが・・・信託型の場合、誰に対して、どういう訴えをすればいいのか、今ひとつ分かりにくいところがあります。

 ただ、既存の株主からすると(場合によっては潜在的な株主もかな?信用売買の方々との関係はどうなるんかなあ。その意味では基準日の扱いとかはぞんざいではいけないんですよね)、いざ買収者現るの段階よりは平時の導入について「あれ保身?」という段階でのチェックも十分必要性はあり得るわけです。差止めとかそこまで大げさでなく導入されている仕組みの妥当性について検証する機会「も」必要なのではないかというのがろじゃあの問題意識です。47thさんの表現を借りれば、平時のプランの内容を裁判で争いたいとなると「入口」と「出口」のその「中間」になるのかな?(^^;)。
 総会の決議を伴わない類型だけでなく、一度総会の決議を経て導入されてしまったプランについては裁判所は味方してくれるんだろうか?などと思うところもあるんですよ。どうやって味方をしないかはいろいろだと思います。訴えの利益がないだとか、法律上の争訟ではないとか(これはさすがにないかな?)・・・この問題は出口入口両方で、買収者の側にも言える話で、47thさんがいう「手続き面での「門前払い」」の問題ということになることはないのかどうか。上場会社については自分はいつ株主になるかわからないし、導入の決議がいつなされたやらそもそも新規に株主になるときにどこでどうかくにんするやら・・・ろじゃあが「憲法訴訟論≒M&A訴訟論?・・・企業価値研究会「論点公開」を読む(1)」で憲法訴訟論との類似性を持ち出したのはこの辺の問題への興味と懸念があったからであります。
 ところでこの入口の議論について、これをすべて総会でとおってればいいというのは形式論であり、むしろ総会も万能ではないという立場の方々からは、むしろ総会での意思決定過程の枠組みにも検討を要する問題はあるわけでして。本件において、総会で株主が最適に判断できる資料がどのように提供されるかというのも検討を要するでしょう。少なくとも証券化商品の目論見書ぐらいの内容は必要なのか?とかね。なんか考えてると頭痛くなってきますねえ。
  うわ~、長くなっちまったなあ。具体的な今後の企業サイドからの対応ですけど、記事を分けることにします。今回は続編はすぐ出ます(といっても今日中って程度(^^;))。ではまた。

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Comments

こんばんは。はじめまして。
勝手にリンクを貼りまして済みませんでした。
何故か47thさんに振られたので、こりゃいかんわいと丸投げ返しの術を・・・
冗談はさて置き、先ほどTBもさせていただきましたが、反映されていませんでした。もうしばらくして反映されてないようなら再度試みますが、ご容赦ください。
まずはご挨拶まで。

Posted by: HardWave | June 02, 2005 10:31 PM

HardWaveさん、おばんです。携帯から見るかぎり反映されてますよ。トラックバックありがとうございます。47thさんも事務所関係ある案件じゃ書きづらいですわな。いつもお世話になってますからたまには役にたてばと思ったのですがHardWaveさんから見て参考になりました?(;^_^A。

Posted by: ろじゃあ | June 02, 2005 11:02 PM

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