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February 13, 2006

大手ローファームの効用と難点

toshiさんが「法律事務所のハコ」というエントリーを書かれております。
大阪ネタシリーズの記念すべき第一弾になるのかもしれないなあとも思いながら(^^;)読ませていただいた次第なのですが、ろじゃあは大阪の大手ファームの事務所にお邪魔したことはまだありません。
しかし、日本の大手ファームについてはいくつかお邪魔したことがありますし、実際にその会議室で弁護士の先生と夜を明かした(好き好んでの場合もありますし、やむを得ずの場合もありますが)こともわずかですがございます。
最近は昔の名前でお邪魔する必要もなく、たまに今の名前でお邪魔する程度ですが、それでもあの事務所の雰囲気というのは初めての方は驚くかもしれませんなあ。
パラリーガルの方も質・人数とも充実してますし、中堅以上の弁護士の先生には基本的に秘書が必ずついているところとか結構あると思いますし、アリー・マクビールのオフィスと同じような感じのオフィスもあるかもしれません(←あえて「推量」)。まあ、さすがにトイレが男女共用ってのはろじゃあが知る限りありませんけどねえ(^^;)。
toshiさんも東京にいらっしゃることも結構おありのようですから、大手ファームについては、機会があったらお邪魔してみるといいかもしれませんねえ。驚かれることは請け合いですぜ(^^)。
ところで、

toshiさんは少々書きずらそうに次のように書かれております。

しかし、こういったすばらしい事務所を維持するというのは、さぞやクライアントから・・・・、などと考えておりましたが、いやいや、これはおそらく私が経営者的発想ではないんでしょうね。売上があるから、こういった事務所を構えることができる、というのではなく、まずこの事務所を構えて、ここへクライアントへお越しいただき、ここでビジネスとして見合うパートナーと商談をする、といったイメージのほうが正しいのかもしれません。
この辺は事務所によって温度差はあるかもしれませんねえ。
ただ、タイムチャージを原則として、「課金する」事務所も多いようですし、従来の比較的規模の小さい弁護士の先生との顧問契約に基づく費用の考え方だけで飛び込むとそんなはずでは・・・ってことがクライアントの側でもあるかもしれませんねえ。
でもね・・・ビジネスローヤーとして彼らホントにプロだと思います。
ろじゃあもある案件で大手中の大手のローファームの若手と中核パートナークラスにお仕事お願いしたことがあるのですが・・・そら、費用はたぶん高いと感じる経理担当者は多いかもしれませんけど、問題解決のためにいつまでに何を効果的にやるかという点については、満点の仕事をしてくれたという思いがありますねえ。
大体、その手の案件は契約書の作成と仕上げに相当の労力を費やすわけですけど、クライアントからの依頼については若手と中堅は何時であろうと時間をかけて期日に間に合わせますし、クライアントに甘えを見せることはまずありません・・・でした。
個人事務所の先生だって、時間厳守で当然仕事はやってくださるし、当然プロとして尊敬してんですけど、他の案件との関係でスケジュールの確定にはやはり制約があるわけです。その点、お尻が明確に決まってる案件については担当制で24時間体制で対応してくれて他の分野にも関係してくるような問題については総合力としての機動性を発揮してもらうことが多々ありました。
特に先例のない先進的な金融の分野とかについて一緒に何日も徹夜してまでミーティングに間に合わせてくれたりする姿を目の当たりにすると、彼らのモーチベーションの高さというのはどこから来るのかなあと考えてしまうことも結構あったりしました。
これはたぶん、競争とキャリア形成って所とも関係あるのかもしれません。
大手のローファームに採用される際のバーはろじゃあが法務部にいた頃でも相当高かったと思うんですけど、最近はもっとなんじゃないかなあ・・・。それだけ彼らプライドありますし、手がけた仕事に対する評価は若手であればあるほどその先を決めていくことにもなりますし。
結構若手ほど大変だと思いますよ。事務所によっては法律専門誌への専門論文の執筆や解説書の出版、大学・大学院やロースクールの教員への就任を奨励しているところが多いようですし、海外のローファーム・大学・ロースクールへの留学のタイミングの問題とか、仕事はこなさなきゃいけないし競争は勝ち抜かなきゃいけないし、そのためには論文も書かなきゃいけないし、いい留学先へのチケットも手に入れなきゃいけないし・・・これはそれぞれの段階での選抜の仕組みとも関係してるんだろうなと思うところもあるわけです。
toshiさんが驚かれた法律事務所のハコの中には、今の若手弁護士の置かれた状況というのも内包されているということができるとおもうんですけどねえ。
・・・とここまで書いて、難点について書くの忘れてますねえ。
仕事に応じて確実にお金がかかるって点はある方々からすると難点かもしれんのですが、それをいっちゃあおしめぇよって問題でもあるわけで(必要なビジネスローヤーとしての良質のサービスが必要な時期に提供されるわけですから)。その質と価値が評価できない方からは必然的に「高い」という声が上がってしまう・・・のは、これは宿命なんでしょうかねえ、47thさん(^^;)。
ろじゃあは決してそうは思わないのですが・・・。
まあ、この辺の話はいろいろとまだあるところだとは思うのですが、まあこの辺にしておいたほうがよさそうです。
信頼関係の問題もありますからね(^^)。


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Comments

TBありがとうございました。

リクエストが少々ありましたので、また「なにわネタ」も混ぜてみたいと思います。。。(=^^=)
私が述べております「先行投資」のなかには、ろじゃあさんがご指摘のとおり、「人」の問題も含んでおります。こんなことを言うと叱られそうですが、実際、司法修習生の指導担当をしておりますと、その能力の差は近年、著しいものがありまして、単に「知的レベル」のことだけではなく「人との交渉(おつきあい)レベル」といったものも法曹実務家としての大切な能力だと思っています。もう、私の依頼者とは一緒に面会させたくないくらいに「おつきあいのできない人」もいらっしゃるわけでして、(ホントにこっちが涙が出そうになるんです・・笑い話ではなく・・・)そういった能力のある人を高額で採用することができる、というのも「ハコ」の問題だと思いますね。パイを増やすには、知的レベルでの優秀さとともに、会社の担当者や役員からみた信頼感のようなものも不可欠かと。まあ、人の評価はいろいろですから、修習生からみた私の事務所だって、どんな風に評価されるかわかりませんが。。

Posted by: toshi | February 13, 2006 08:46 PM

このお話、つい最近まで某コンサルファームで勤務していた人間にとっては、「弁護士」を「コンサルタント」に置き換えても、まるで同じことが言えると感じました。また、あくまでも印象だけですが、大手監査法人も同じようなことがいえるのかな?とも感じました。

一方で、ろじゃあ様が書かれている通り、大手ファームの若手は正直大変です(という私も間違いなく大手ファームの若手だったわけですが・・・・(^^;;)。もちろん「仕事(案件)としての面白さ」がモチベーションを生み出しているのですが、その一方で、「最後のところで会社(ファーム)に自分を縛られていないから、思い切った仕事が出来る・・・時もある」ところも実は裏要因としてあるのかな?と現場にて感じていました。

そう考えると、「自分の言動に、最後のところ自分でリスクを背負える気持ち」が「プロ意識」なのかなぁ・・・と感じました。

Posted by: Swind | February 13, 2006 10:16 PM

>その質と価値が評価できない方からは必然的に「高い」
>という声が上がってしまう・・・のは、
>これは宿命なんでしょうかねえ、47thさん(^^;)。

・・・何と答えにくいご下問を(笑)
ファイナンスとコーポレートでもスタンスは違うと思うのですが、単純にクライアント側のリテラシーで割り切れない部分は残りますよね。
昨年、NYの事務所にいるときに驚いたのは、マーケット・リサーチや顧客満足度の調査にかなり力を入れていたことで、こうした努力が弁護士事務所側にも求められるんじゃないでしょうか・・・と、何だか奥歯に物がはさまったような言い方で恐縮ですが、ブログには書きませんが、弁護士のビジネス・モデルのあり方というのは、個人的には非常に大きなテーマで、また帰国した折にでもオフ会で是非ご相談させてください^^

Posted by: 47th | February 14, 2006 01:26 AM

toshiさんへ
交渉力というよりはコミュニケーション能力、もっといっちゃうと営業力?のある実力派の若手は、はっきりいって引く手あまただと思います(^^)。でも、ろじゃあの印象だと大手ローファームごとにその辺は採用とかについても差があるような気がしますねえ。
はっきり言って会話ができない若手はクライアントの方で育てるのを手伝わないといけないときもあると思いますよ。それに応じてくれるのはホント大切にすべきクライアントだと思うのですが、勘違いされる方も中にはいるかもしれませんねえ(^^;)。この辺はまた別の機会に。
Swindさんへ
いらっしゃいまし。
他の業態の大手事務所でも専門家+αの部分は当然要求されるレベルが高くなってんのが実際だと思います。クライアントが大手企業の場合は、優秀なブティックに対する評価がなかなか上層部で理解されない場合もあるかもしれません。そのときの殺し文句は、法務担当者としてもいろいろあるんですけど、はっきり言って書き辛いっす(^^;)。その辺は目立たぬようにおいおいに。
47thさんへ
確かに答え辛い質問ですよねえ。
ろじゃあ的にはこの先弁護士先生の数が増えてクライアントの方でも必要な法務サービスと先生の専門性とかとの情報についてミスマッチが出てくると、法務代理店的な紹介サービスの需要が出てくると思うんですけど、それをコンサル的に展開するモデルというのは・・・これ弁護士法上だめなんですよね、現状の法的枠組みでは(^^;)。
そうなると弁護士法人の顧客管理・営業スタッフという意味で弁護士法人の営業部って必ず必要だと思います。この人材って結構育てるの大変だと思いますよ・・・企業法務部の人間が適材だと思うんですけどねえ・・・なんちって(^^)。
是非来日時には・・・ははは、帰国時には(^^;)、今後の弁護士のビジネスモデルについてオフ会でお話いたしましょう。

Posted by: ろじゃあ | February 14, 2006 02:08 AM

遅レスで申し訳ないですが、以前海外系の某大手ローファームの方と電話である件でお話したことがあったんですが、その電話の相手の方の肩書は確か「マーケット何とか」でした。ローファームで何するんだ?って思ったのを覚えてますが、なるほど、47thさんのいうようにマーケットリサーチなどをする専門部署があるようですね。

Posted by: 匿名法務部員 | February 14, 2006 09:22 AM

その昔、アメリカ人の弁護士さんから「あいつは仕事はできないが、お客を獲得するのが滅法うまいんでパートーナーになっているんだ」という話を聞いたことを思い出しました。「仕事ができなくても、そういう生き方でのし上がることができるんだぁ。」と妙に感心したもんです。

Posted by: Deacon | February 14, 2006 01:10 PM

弁護士紹介業・・いいアイデアだと思うんですが、駄目なんですか?(笑)
じゃあ、課金方法を工夫して弁護士ポータルってのはいかがでしょうか?
ろじゃあさんはご存知の通り、私の仕事の場合、弁護士先生との関わりは案件毎の単発なもので。。だからこそ、担当ベースで自由に頼めるというのはありますが、なかなかピンポイントで「この件につき詳しい」かつ「親切な」先生を見つけるのは大変です。
レベルもいろいろですしねぇ。。以前に、取引相手の側のリーガルオピニオンに、「○○については××という観点で言及してくれ」と依頼したら、ただ単に「○○については××」という一文だけ挿入してきた先生もいらっしゃいますし。(^^ゞ
あと、最近はビジネスコンフリクトで断られることも多いです。

Posted by: すぎ | February 16, 2006 08:09 PM

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