帰ってきた法務部いろいろ(1)・・・「稼いでいるのは俺たちだ」①
ここんところ法務関係の色々な方々のお話とかコメントに接する事が多くて、頭の中で色々な思い出と怒りと後悔が錯綜し始めて頭の中でぐるぐる回る事が増えてきたのでありました。
んでもって色々な事を考えて、「十人十色、法務部いろいろ」を再開する時期なのかなあという気になったのでありました。
とりあえず、今回は、リハビリ版として、最近のpopoluさんとのエントリーのやり取りからインスパイアされたろじゃあの独り言から始めたいと思います。
その声ははっきりとしたものだった。
ろじゃあは次の言葉を一生忘れる事はないだろう。
「法務のくせしてでかい事をいうんじゃねえ。稼いでるのは俺たちだ。分かったような顔して俺たちの仕事をじゃますんじゃねえ。お前なんかいつでも飛ばせるんだからな」ある提携先との新規案件の交渉でいつもどおり法務部の人間としての話をしていたろじゃあ。特定の特別法との関係で先方の提案をそのまま稟議書に記載して稟申しても法務部と担当役員の所でとまる可能性が大きい事を示唆したときであった。
多分彼はこの発言を忘れているはずである。
そのあとしばらくしての酒の席でそれとなく遠まわしに触れてもまったく反応がなかった。
だがろじゃあはこの発言にどう対処すべきかという点については決してそれ以後、この発言を忘れる事はなかった。顔も名前も忘れてしまったのだけれど。
ラインとスタッフという言葉がある。
従来は法務部というセクションはどう考えてもライン業務にはのるはずがない・・・というのが常識であろうし、日本の企業社会では依然としてそのような考えのほうが多数をしてめているであろう。
ではスタッフとは何なのか。
コレが実はよくわからないのである。
バックヤードという言葉もあるが、外資系金融機関におけるような仕事の役割分担の枠組みでも実はこのスタッフという言葉は説明できない事も多いのかもしれない。
ただ、ろじゃあが法務部で仕事をしていたころは、圧倒的にこの「営業」がラインでそれ以外は「スタッフ」という認識は経営者はどうかはその頃わからなかったが・・・営業部長までの管理職の方々の間では当然の認識だったようである。まあ今でもそうだよね。
分かる気はするんだけどね。
ろじゃあが会社まわりをしていた頃については「十人十色、法務部いろいろ」シリーズですでに書いているところだけど、同期で面接していた連中は、営業でバリバリ働きたいですって言う連中か国際広報広告の3K志望の連中が圧倒的に多かった。
皆馬鹿じゃないのでその辺のリサーチはしたうえでの反応だったのだろう。
だから法務部にとにかく入りたいという院卒のオヤジについては、冷ややかな反応を示した同世代(1か2期上の方々)も多かったのも確かだったらしい(でも幸いながら同期のほとんどの連中は歳が上で妻帯者であるというだけで一定のお豆扱いをしてくれたのであった。かわいい兄ちゃんが多かったし今でもわが良き友である)。
そんな話は頭に入っていたから、上記の発言に対してはどきどき状態になる事はなかったのであったが・・・やっぱり哀しかったなあ。
それに仕事の内容とか職務に関係なく、意に沿わない人間を、「いつでも飛ばせるんだ」という言葉で屈服させて仕事をさせるという発想は・・・しかもそれを臆面もなく公言するというのははっきり言って想定外だったのも事実である。
あとから検証すると彼にろじゃあの事を飛ばす力がなかったことだけは確かなのだけれど(^^;)彼の上司とか役員経由では「一応」可能だったのかもしれないというのは印象としてある。
当時でもはっきり言ってごくごく少数の「症例」だったと思うのだが(ろじゃあは以後同趣旨の発言を耳にする事はなかった)会社によっては同じような立場に置かれたことがある方々もおられるかもしれない。
自分が法務部で生きていくには環境整備が必要だと痛感したのは実にこの発言以降である。
次回もう少しその話に触れていきたい(つづく)


Comments
ろじゃあさん
ひさしぶりにお邪魔します。この言葉、結構きついですね。どうしてきついかというと、営業の傲慢さがあふれているから。
おそらく営業の人は、営業の存在意義はどこだろう何て考えないのでしょうね。法務部だと、法務の存在意義はどこにあるだろう、と悩むことがあるのでしょう?それはある意味で、良心的だると思いますよ。
小職も、出向で1年法務の仕事をしたことがあるけれど、やはり営業側の「濃い」人の相手はしんどいと思ったね。でも、問題を起こすことがある可能性は、そういう人だったりするのですね。
喩えになってしまうけれど、アクセルだけの車は当然危ないでしょ?営業の思い上がりは、いいタイヤをはいていたり、しっかりしたブレーキがなければ、そんな車危なくて仕方ないのだけど、やはり「馬力」のある車がいい、というような感じかなと思ったりします、はい。
最後は、会社のカルチャーだと思っています。内部統制の文脈でいうところの統制環境と通じるもの。法を守ったり、会社のリーガルリスクを考えたり、そういうことがしっかりできている会社かどうか。今日本の会社に求められているのは、本当はこういう法務の意義をきちんと理解して、それを十二分に活用する企業風土だと思います。
もちろん、どこの時代にも、心無い発言をする人はいなくならないけれど、それでも信念をもっていい業務をしてください。必ず通じることがあるだろうと信じて。
弁護士だって、本当は大変ですよ。それはやっている中身でわかってもらうしかないんですね。「先生」と表で言われても、やはりしっかり結果を出したり、意味のあることをしないと、次から依頼者は来ない、という危機感がないと。それが自らを鍛えてくれると信じようじゃないですか。
Posted by: 辰のお年ご | March 13, 2006 at 10:23 PM
辰のお年ごさんへ
どうも、いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
ろじゃあがコレを言われたのはもう10年も昔の事です。
新入社員の法務部配属の直後に言われなくて良かったと思います。
でも最近の法務部採用とかの採用形態だといきなりこういう「罵声」を浴びる若手がいる可能性があるのです。
これは暴力です。
かといって会社を選ぶときにこういう輩がいるかどうかなんてわかりません。
ということは若手はこういう人間が組織にいるということを認識して会社選びをせざるを得ないのです。
法務の希望者には存外にいい人がいるもんだよとことあるごとに伝えているろじゃあですが、今回は「毒」の部分についても触れながら若手がひどい目にあわないようにというエントリーを少し書いていきたいと思ってます。
弁護士の先生の立場からもアドバイスとサポートをいただければと存じます。
ろじゃあは今後の企業法務においては弁護士の先生と企業法務の担当者と経営者と・・・そして一般の世間の目がある程度の落とし処を前向きに考えながらそれぞれを高めていくべきと考えております。
また遊びに来てくださいね。
Posted by: ろじゃあ | March 13, 2006 at 10:32 PM
こんにちは。シリーズの続きをお待ちしていました。popoluさんの記事についても、こちらのblogに何か書きたいと思いつつ何もかけてませんが。
しかし、このセリフはきついですが、本音が出てますよね。こういう物言いに対しては逆に、「訴訟になって損出が出たらどうなると思っているのか?利益率から計算してお前らが埋め合わせをするためにいくら仕事とらないといけないのかわかってんのか?」と聞きたくなるますよね。
それと直接の損害だけで済む話じゃなくて、免許の関係がある業界(僕はそういう業界にいるのですが)で、そっちの方へ話が行くとそれこそ「会社がなくなる話になったら、お前らごときがいくら首をつっても足りない話になるぞ」と脅かしたくなるのですが。まあ、そういう物言いをするような方に対して言っても意味が無いのでしょうが。物騒な物言いですいません(^^;;。
ともあれ、続きを期待しております。
Posted by: dtk | March 14, 2006 at 03:53 AM
dtkさんへ
ご期待ありがとうございます。
ある程度の年齢とキャリアになると笑いながらdtkさんがおっしゃるような趣旨を伝えることは可能なんですね(笑)。
むしろ冗談ぽく言っちゃう方がいいんです。相手がよほどの人間でない限りね(^^;)。
でもねえ・・・ぺえぺえの頃はそういうわけにもいかず。
続きをご覧くださいませ。
しっかし、dtkさんのように書いていただくと身が引き締まる思いがするなあ・・・。
引き続きよろしくご愛顧を。
Posted by: ろじゃあ | March 14, 2006 at 07:21 AM
私はろじゃあさんが浴びた暴言を、ひどいときには営業の部長から面と向かって言われてました(笑)。そういうどうしようもない会社でした。
もう少し表向き丁寧でありながら、結局のところ法務マンの存在価値を否定する言葉として、私が営業に言われる度にやる気をなくした台詞はこれです。
「この契約のリスクを指摘してください。指摘するだけで直さなくていいです。営業責任でそのリスク飲みますから。」
「もう相手とこの契約案で握っちゃったので、リスクのポイントだけレポートしてハンコ下さい」
つまり、法的リスクは社内稟議書に明記する必要があるので法務の“お墨付き”コメントとして出して欲しいが、そのリスクを回避できるよう契約書を法務のいいように直されると相手との交渉がこじれるので、そこまではするなという意味です。
「営業がリスクを飲む」といっても、そのリスクが現実のものとなれば当然に営業部門だけでなく結局は会社全体の責任となります。
それが想像できないなんて、この人たちはそもそも営業マンとしての仕事の仕方・姿勢にも問題があるのだろう。そんな風に感じざるを得ませんでした。
Posted by: popolu | March 14, 2006 at 07:31 AM
popoluさんへ
やっぱりそうでしたか(涙)。
今回の法務部色々再開に向けてちょっと前からネタ帳の整理をしてたんですけど(笑)、popoluさんが指摘してる上記の対応も俎上に載せようかと思ってます。もう少し営業担当者の心理にも踏み込みたいと思いますけどね。
会社って不思議なものです。
いろんな人がいますから相手もこちらを勝手に理解してる場合がありますし、こちらも相手を勝手に理解してる場合もあります。
相手に問題がある場合が多いというのも率直に感じますが、法務の人間としてはこちらの「常識」が相手の「常識」になってない場合もあるという認識も重要かもしれません。
この辺の問題は法務スタッフに限った問題ではなくシステムの方々も共有できる問題じゃないかなあと思ったりします。
その辺を視野に入れながら少しまじめに「帰ってきた法務部色々」は書いていきたいと思います。
再開のきっかけをくださってありがとうございました、popoluさん。頑張ってくださいね。
また引き続きご愛顧を。
Posted by: ろじゃあ | March 14, 2006 at 07:46 AM
ろじゃあさん、コメントをありがとうございます。
確かに、とっさに笑いながら言うのは、人格の陶冶というか場数というか、とにかく、僕にはまだ難しいですね。出来るようになるようがんばります。
引き続き期待しておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
Posted by: dtk | March 14, 2006 at 02:19 PM
契約書と言っても千差万別で、対等の立場で締結される場合もあれば、そうでない場合もあります。
特に、立場が弱い場合は、問題点があっても、どうしようもない場合もあると思います。例えば、こちらの立場が弱いと、いくら交渉しても、「標準契約書なので、お宅だけを特別扱いできない」等とはねつけられてしまう場合もあり、かと言って、事業展開上、契約せざるを得ないので、最終的には、法務担当者としては「やむを得ず」目をつぶらざるを得ないケースもあるかと思います。
popoluさんの場合はどのような背景かわかりませんが、ろじゃあさんのご指摘の問題点もあるかもしれません。
ろじゃあ様:
続きを期待しております。
Posted by: taghit | March 14, 2006 at 03:09 PM
dtkさん、taightさん
なんか、みなさんにネタ帳が透けて見えてるようですねえ(^^;)。taightさんのご指摘の点は何回か後に出てきます。
笑いながら言うかどうかは別にして喧嘩しない方法については第1回の②以降で出てきますのでよろしくお願いいたします。
Posted by: ろじゃあ | March 14, 2006 at 05:11 PM
ろじゃあ様
はじめてコメントさせていただきます。
私自身は、7年間営業をやった後、法務に異動となりました。そのせいか、ビジネスを速攻でまとめたい営業(数字=評価につながるから)の気持ちと、会社の利益の最大化・リスクの最小化をはかる法務部の思いと、両方実感している日々です。
法務部として、営業のビジネス判断を信じて目をつぶるしかない場面と、そのビジネス判断がどう考えてもリスクが大きすぎるとして経営判断まで持ち込む場合と、悩む日々です。
ただ、いまの会社は、法務部の先人達の実績の積み重ねと、実ビジネスを行っていた部隊の、いろいろの失敗・成功に伴う意識の変化とで、割合、法務部の意見を尊重してくれる風潮があるので、他の方よりも助かっているかなと思っています。
やはり、実ビジネスをやっている人たちが、契約書をちゃんと読んでくれる会社が、今後もちゃんとやっていけるのではないかと思う次第です。
とりとめのないコメントになってしまいましたが、これからも期待して読ませていただきます。
Posted by: sonoda | March 14, 2006 at 11:38 PM
sonodaさんへ
いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
先輩たちの失敗と模索の集積がある職場とそうじゃない職場って確かに違うと思います。
どちらかというとコンプラの視点からの昨今の法務部新設の動きの中で摩擦が生まれていないといんだけどなあとちょっと前は思ってましたが景気がよくなってくると特にまだ新しい会社は法務部の役割について企業として経験がすくにことでいろいろやりづらいことがありはしないかと心配しているところです。
引き続きコメントお願いいたします。
Posted by: ろじゃあ | March 14, 2006 at 11:49 PM
ろじゃあさん、ネタが透けて見えるからこそ盛り上がるのではないかと。人間がやっていることですから、業種とか法務の立ち位置の差によって多少バラエティが出ても、今回のような話はどこの会社でもありそうな話ではないかと思います。
それとpopoluさんが書かれているようなケースの場合、こちらの会社でやるのは『「営業がリスクを飲む」と言うので止むなしと考える』と書いて営業部長に判子をついてもらうという形です。こうすると判子を押した側にもある程度のプレッシャーがかかりますし、問題が起こった際にも「営業がリスクを飲む」と言ったから法務は不承不承でも容認したんだというのが分かるので、責任の所在をはっきりさせる形で書面で残すという面で多少の役には立つのではないかと。横からですいませんが。
Posted by: dtk | March 15, 2006 at 09:07 AM
私も“横から”で失礼します。
(恐らく)dtkさんとは業界は異なるとは思うのですが、同じようなコトをしています。
そうでもしませんと法務のOKを「免罪符」のようにされてしまいますので…。
「そりゃ、ダメ!」で終えてしまうのは簡単で楽なのですが、「じゃ、どうすりゃOKとなるのか」を提案してあげるのが、大仕事でもあり、醍醐味でもあるなぁと。ま、いずれもケース・バイ・ケースでの対応になりますが。
私も「法務部いろいろ」の続編を楽しみにしています!
Posted by: Deacon | March 15, 2006 at 04:06 PM
こんにちは。Deaconさんのところでもされてましたか。
法務のOKを「免罪符」としてほしがる人々とどう対応するかというのも一つの論点?ですよね、ろじゃあさん。
こちらの会社の法務部で言われていたのは、そういう人がいるのは仕方がないけど、そういう目的で来る人は都合の悪い情報ほど隠す傾向にあるので、それをきちんと見抜くことが必要。そのためには業務に対する知識が重要と。neon98さんが言われる「問題発見」能力に重なると思いますが。
すいません、横から横で。
それでは。
Posted by: dtk | March 15, 2006 at 10:29 PM