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January 31, 2007

なぜ横浜地裁の川崎市損失補償違法判決が気になるか・・・地方自治体の信用と地域金融機関の信用

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先日エントリーした横浜地裁の川崎市損失補償違法判決についてのエントリーへのアクセスが結構な数になっておるのですが、ある方からなぜこの判決が気になるのかという素朴な疑問をいただきました。
その方には直接お茶しながら趣旨をお伝えしたんですけど、読んでいただいた方々も同様の疑問をお持ちになったのでしょうかねえ・・・。
ろじゃあは単純に、川崎市とかの首都圏の地方自治体とメガバンクや地銀であればこれが仮に返還が認められたとしても地域住民にとっては単純に自分達の自治体にお金が返ってくるということでしょうし、その件についての返還のリスク自体は当該金融機関でも吸収できないわけではないだろうとは思うのです。
ただ、この判決が「仮に」返還を「当然のように何らの制約なく」認めるような結論になったような場合には(その事案についての法的判断の是非を問うているわけではありませんので誤解のないようにしていただきたいのですが)、地方の相対的に財政的に余裕のない自治体において当該地方公共団体とそこの地方債とかを買ってる地域金融機関はどのようにそのような判決によって示された枠組みの影響を受けることになるのか・・・ということに

思いが行かざるを得ないのですね。
ご承知のとおり、地方公共団体の発行する地方債の枠組みについては今までと異なる枠組みになろうとしているわけで、当該自治体の信用度というものが反映されやすい枠組みへの移行が予想されるところでもあります。
そんな中で、従来の三セクの案件での融資保証ではないとされてきた損失補償が認められないことになる蓋然性の高い枠組みが判決により形成される可能性が高くなってしまうようですと、そこと取引のある地域金融機関を中心とした地元の銀行は三セクの案件はもちろん本体との取引についてもリスク管理を今までよりもきつめに対応せざるを得ないことになるのではないかと思うのです。
ある意味ではリスク耐性が高いエリアでの解決方法としては今回の原告の求める対応というのも市民からの請求という意味ではアリだと思うのですが、それが結局最終的には地域で吸収できないエリアというのも日本では出てきつつあるのではないかと懸念しているのです。
というのは、地方債の消化はやはり地域の金融機関が担ってきたわけで、例の預金保険法改正の騒動の時に地元自治体との取引についてどうするかなんて議論が出てきたぐらいの枠組みだったわけです。
いまその関係は、どうなっているのかというところだろうと思います。
少なくとも過去の部分については当時の情勢からすると「場合によっては」(←これが重要でしょうね。)しょうがない場合もあるんだという考えがとられ得る余地がないとその影響は、現状では川崎市とかではなく、地方の自治体の方が大きいのではないかと思ってしまったのですね。
もちろん、ろじゃあの思い込みがあるところもあるかもしれないので、色々な意見があっていいところだとおもうのですが、一種の事情判決的な手法を善しとすべきかどうかについては、全体の枠組みの変動や

「地域格差」の視点
も踏まえて、地方の財政的に大変な自治体と地元から簡単には離れられないし(むしろ離れるべきではない)地域金融機関との関係も踏まえて、両方が劇的にちょっと困った対応をとらざるを得ないような枠組みにならないような配慮が必要なんだと思うんですね。
地銀の方々がどう考えておられるのかというところに興味があるのは実はこの辺の関係があるからなのでして、あまり「割り切りすぎた」対応というのは自治体自体の信用収縮→地方債への影響、なんてことにも繋がる可能性があるんじゃないかなあと思ってしまうと共に、地銀としての社会的責任というところまで要求するのはきついのかどうかの判断は留保しておきますが、「地域再投資」という視点で今後の地域での役割を今まで以上に担って行かなければいけないかもしれない地域の金融機関の方々にとっては、今回の判決で示された枠組みというのは興味を持たざるを得ないのではないかなあと思う次第なのでございます。
そうはいいながら、それだけで地域金融機関の方々が動けるわけでもなく。
今まで以上にバーゼルⅡの枠組みの中で自らの資産と負債の管理は厳密に対応していかなくてはいけないわけですからねえ。
そういうところを今回の判決は踏まえていたのかどうか・・・・ろじゃあ、個人的には興味のあるところでございます。

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Comments

この問題は、難しいです。
私個人としては、財政援助制限法に触れるか否かということよりも、長期債務負担行為に関する議会承認をとるにしても、実際にキャッシュアウトがない損失補償によって、野放図な公共事業をやっていたのか、真に公的セクターでしか成しえない事業を行うために、損失補償の形をとって実質自治体のコミットだという合意の下に進められた事業なのか、そういった、実質論で判断すべきものなのではないかと思います。
現行制度は、地方三公社だけに許されている保証、損失補償は、地方が行うべき事業として、法が認めた法人だから許されて、それ以外のところはたとえ公的セクターの事業として不可欠と思われても、外形的に許されないから損失補償ができないと読めます。しかし、地方三公社の事業が、すべて本当に必要な公的投資であったかについては、答えを待つまでもありません。
この問題は、自治体財政のガバナンスと密接に関係あるものではないかと思います。どういった形でガバナンスを利かせることが最良の選択か。
融資側としても、不採算事業ながらも公共性が極めて高く、自治体の支援が継続する事業と、そうでない事業を峻別するべきであり、こういった融資行動も、ガバナンスの一端を担うことになるのではないでしょうか。

Posted by: papa of K&T | February 01, 2007 01:34 AM

papa of K&Tさんへ
コメントありがとうございます。
どうも皆さんへのお返事が遅れがちで・・・(^^;)。
おっしゃるとおり難しいっす、この問題。
自治体の「ガバナンス」の問題というのはおっしゃるとおりなのですが、民間の企業のガバナンスと自治体のガバナンスの問題というのは後者には地域住民による選挙という問題が絡むのでこれをどう考えるかという問題と、金融機関によるガバナンスの利かせ方の影響が地方債という制度の信任とどう絡んでしまうかという問題がもう少し意識されないといけない場面があるのではないかという気がしているものでこういうエントリーになってきてしまうのでございまして。
ろじゃあも迷いが結構あるところでございます。
引き続きよろしくお願いいたします。
また遊びに来てくださいまし。

Posted by: ろじゃあ | February 02, 2007 06:22 AM

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Tracked on February 02, 2007 09:33 AM

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