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December 01, 2011

「十人十色、法務部いろいろ From now on」2:専門書や雑誌はどうしてますか(2)

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ろじゃあが新入社員の頃、法務部で仕事をし始めたはいいのですが、本社で営業店や本社内の他のセクションの担当者との関係でいろいろと鍛えられたことについては最初のシリーズで少し触れておりました。
あの頃のお話でまだまだ書くことができることはあるとは思うのですが、上場企業の企業風土も新入社員の位置づけや管理職の方々の認識も変わってきていると思います。
ですから、その頃の話をそのまま書くのもどうかと思いまして(まあ、以前のシリーズでも適宜実際の出来事をいろいろな配慮から修正しているところは多いです)、いまでも法務セクションで苦労があるだろうなあというところについて話を始めたいと思います。
ということで今回は専門書や雑誌の法務部での位置づけと取扱についてのお話です。

1.配属時点での文献や雑誌の環境
ろじゃあが法務部に配属されたときにまず違和感を覚えたのは、法律分野に関する基本書や専門書、そして雑誌の存在でありました。上司からの指示である事柄について調べるときに、基本書や専門書がどちらかというと不足している印象がありました。この点についてはあとで個別に話をしたいと思います。
それに対して雑誌類については、時代が良かったのでしょうかね、法務部が創設されたのがバブル期だったこともあるのでしょうが、結構、法律雑誌も含めて少なくとも当時の時点で直近5年分ぐらいは、バックナンバーが揃っておりました。とはいっても、

その当時、法務部の書架に揃っていたのは以下のようなものだったと思います。

ジュリスト
法学教室
NBL
商事法務
金融法務事情
判例時報
それに加えて、ろじゃあが入社した会社の業務に関係する業界の専門雑誌がいくつかですかね。
いま考えると、
よくNBLと金融法務事情が揃っていてくれた
と思います。
業務との関係でどうしても必要という側面もあったのですが、NBLにしろ金融法務事情にしろ業務に関連する実務分野の論稿が多く載っていて、しかも月刊でないことから世の中との出来事が月刊誌に比べればタイムラグが少なく入手できましたし、なによりもそのような論稿やタイムラグの少ない情報を
仕事の最中に文句を言われることなく読めたのが何よりも助かった
のですね(笑)。
とはいえ、その当時は、今に比べると立法の数や頻度、改正の頻度もそう高くはなかったですから、最新の情報に接することについてのアップデートの重要性というのは今よりも相対的に低かったかもしれません。ですので、NBLにしろ金融法務事情にしろ今の情報の新規性とくらべるとまだまだタイムラグの点では今よりも「牧歌的」と言えたところがあったかもしれません。
その点、現在の法務で仕事をしておられる感覚とはちょっとズレがあったかもしれませんね。
とはいえ、新設の法務部でよくこの二誌を年間購読していてくれたなあと思います。そして、予算化がきちんと行われていて、判例時報も毎号揃えていたというのは、専門書についてのろじゃあの違和感に比べると、修士課程での環境と比べて最低限の文献へのアクセスができるという意味ではよほど恵まれていたかもしれません。
しかし、企業では他に配慮しなければいけないことがあります。
それは雑誌の保管スペースであります。

2.その後の雑誌を巡る企業内での問題・・・そりゃ企業ですからいろいろ配慮要因はありますわ
 入社したての頃はまだよかったのですが、二・三年したころ頃から、保管スペースの話が問題になり始めました。
そして、

一定のスペースを前提とするとどうしても古いものを捨てるという選択がされやすくなってくる
わけです。
そして、バブル崩壊後は更に予算についての枠組みがより厳しくなってきました。
そうなると
一番最初に削減の対象にあがるのが雑誌
だったのですね。
法務部の属する本部の総務担当の方と法務部の上司の間で結構なやり取り(場合によってはバトル)が予算提出の時期になると起こるようになります。
そうすると
優先順位を付けたうえで、退却戦を行わなければならなくなってきます(苦笑)。
当時は、歴史のある法務部のある企業と法務部を創設して間もない企業では当然予算配分の企業内での優先順位も違っていたでしょうし、業態における法務の重要性についても今とは異なる環境があったと思いますので、参考になるかわかりませんが、少なくともろじゃあがいた会社では法務部の位置づけは経営との関係でも比較的高かったので予算策定においても相対的にある程度の発言権はあったようです。
しかし、それでも環境の変化だけでなく世間的な「常識」とのギャップを埋めないといけない部分がありますので、当時でも、
法務部の管理職は予算化の部分で書籍等の関係や弁護士先生との顧問契約の管理等で苦労が多かった
のが現実だったようです(これは伝聞。実際にはろじゃあは当時は新入社員のぞうきんがけの最中でしたから)。
さらに言えば、組織変更で法務部が所属する本部が変わることもあります。そうなるとスペースの問題が更に厄介な問題になってくるのですね。本部長クラスや取締役クラスによっては法務部に対する認識に当時は差が相当ありえたと思うのですよ(ろじゃあがいた会社に限らず一般的なお話として)。
そうすると、事務所スペースの確保の段階で、雑誌が「デットスペース」として問題化してくるのですね(汗)。
これをいつも乗り越えられるとは限らないのが企業での法務部関係の周辺問題で結構隠れた重要な問題だったりしたわけです。

3.当時と現在との諸環境の差
それを考えると今はどのような状況なのでしょうか。 相対的にコンプライアンスの重要性は上場企業では経営上重視せざるを得ないでしょうしそれなりの予算化がどうしても必要になってくると思います。その意味では発言権が当時に比べると高くなっているところもあるかもしれません。 だいたい、武器も兵糧も提供しないで戦えと言われたってそりゃ限度がありますわな(汗)。 それがわからない上司や経営者はやはり適格性に若干の問題があると言わざるを得ないかもしれません、今の時代では(棒読み)・・・といってもその辺はぐっと飲み込みつつ、対応しなければいけないのは程度の差こそあれ、昔も今もおなじかもしれませんけどね(苦笑)。

とはいえ、企業業績や経済環境を考えると予算化において不要と考えられがちなものまで認められるとは限られないでしょうし、

そもそも紙ベースの雑誌を購入すること自体について、より厳しい選別が行われているようでもあります。
これは企業法務の現役世代の方からうかがっている話です。
それに
紙ベース以外の選択肢
も増えましたからね。
雑誌についてはバックナンバーがCDーROM化されたことから始まり、現在ではネットワークで判例検索も雑誌検索も可能な状況になっています。
その意味では、
法務部における武器として必要な情報としての「紙ベースの雑誌」と「電子情報化された情報」の使い分けと予算配分における方針決定
が法務部の管理職の方に必要な業務となってきていると思われます。
では、実際にはその過程でどのような問題が出てくる可能性があるのか・・・この点について、次回は、ろじゃあの時代のギャップと絡めてお話をしたいと思います。専門書についてのお話はまたその先のお話ということで。
(つづく)

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