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November 06, 2014

法務セクションはどういう立ち位置に置かれていたのか  三菱重工の特損計上を耳にして

いろいろ考えさせられる案件だったように感じたものだから。

客船でまた巨額損、三菱重工がはまった泥沼
前期と今期で造船の特損1000億円超に
(渡辺 清治 :週刊東洋経済 副編集長・東洋経済オンライン2014年11月06日)

これだけの特損の計上というのは三菱重工でもやはりそれなりに大きな出来事なのではないかと思う。
一生懸命今後を考えてどのような方向で新機軸を出していくかということを三菱重工として十分熟慮した上での受注だったのだろうと思う。
では何が問題だったのか。
この点については、

この論稿の筆者は次のように言及している。

ここで経験不足が露呈した。これまで三菱重工が手掛けてきた客船は、すでに同じ設計の船が存在し、あらかじめ仕様が決まっているものだった。今回、アイーダ社から受注したのは新型客船の「1番船」。初の船型となるため、仕様を含めて一から協議して設計を決めていく必要があった。
当然、1番船は相手側の意向で仕様が変わる可能性があり、追加費用が発生するリスクも大きい。本来なら、そうした費用負担の扱いについて契約書の中で細かく明記しておく必要があるが、三菱重工のリスク認識が甘く、契約書の中で十分なリスクヘッジが行われていなかったと見られる。
三菱重工でも初めての仕様ということであるとそれなりの不測のリスクや費用が発生することにもう少し想定すべきでそれに対する契約上の手当てをしておく必要があったのではないかということであろう。
私は三菱重工のような重厚長大産業の一つとして日本をけん引してきた会社の法務セクションがどのような立ち位置にあったのかについてはよくわからない。
しかし、それなりに日本を代表する企業として内部統制もコンプライアンスシステムも充実しており、相当程度のレベル以上のスタッフにより事業に関する各種リスク対応を従前とすべく日々精進しているのであろうと思うのである。
では、筆者が言うような「リスク認識が甘く、契約書の中で十分なリスクヘッジが行われていなかったと見られる」という状態は実際にはどうだったのであろうか。
また仮にそれが実際にそうだったとして、なぜそのような状況になっていたのであろうか。
そのような状態がなかったとしたらなぜこのような状況に至ってしまったのか。
内部統制とコンプライアンスの問題として検証すべき論点があるように思うのである。
リスク認識と収益の確保と資産の保全のバランスという意味でこれは立派な内部統制上の問題を含んでいるだろう。

そしてそもそも今回の赤字前提と言及され得るような受注自体内部統制上どのようなプロセスを経て、最終的な経営判断にいたったのだろうかと。
その前提として契約書の内容の妥当性についてはどこがどのような意向でどのようなセクションと協議した上で実際の契約書の内容が承認されていったのであろうか。
非常に興味深い事案であると思うのである。
法務セクションの諸君は自分自身が類似の事案に直面した時には法務セクション内では何を問題にし、どのセクションとどのような協議を経たうえで最終的に経営判断へと至るかを自分の会社に置き換えて考えてみるとよいのではなかろうか。

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Comments

デカい数字の案件で、売上を立てることのみに視線が集まっており、法務の関与が遅れた(意図的かそうでないかはさておき)結果、法務がnoを言うことができなかった(言えないように社内が調整されてから話が来た)とか、実は本音としてはこのリスクは覚悟のうえ、または、warningは出ていたが経営陣は無視した、というあたりなのではないかという気がします。

ついでに、交渉力の面で弱かったというか、売り上げを立てるために必死になっていることを相手に見透かされた、とか、就航スケジュールとの関係で契約交渉に取れる時間がすくなかったとか、入札案件でそもそも契約交渉の余地が少なかった、という可能性もあるかもしれません(それなら受けなければいいという議論は、売り上げに頭が行っていると社内で受け入れられない可能性もあると)。

いずれにしても、真相は不明ですが、個人的には、結果はさておき、どういう議論をすべきだったのか、気になるところですし、自分がかの会社の法務の人間だったらどうしたか、と思うところです(監査役あたりからつついてもらうくらいしかできないような気がしますが)。

Posted by: dtk | November 07, 2014 at 08:12 AM

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